胃カメラのページ
当院で胃カメラを受けたいとお考えの方は、電話予約が可能ですので、お電話ください。受付で検査日の調整をいたします。前日21時以降は食べないで来られる日時をお考え下さい。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
口からカメラを挿入して、食道・胃・十二指腸の途中まで観察します。
気管の背側に食道への入り口があるので、そこから食道に挿入します。食道は固定されたぞうきなので、素直に推し進めると胃内に達します。胃の出口(幽門)を越えて十二指腸に侵入し消化液の出てくるふくらみ(ファーター乳頭)を越えたところまで挿入ができます。
検査中は左を下にして横を向いた状態です。
この検査のカギは、ノドの麻酔をじょうずにかけることです。ノドの奥には嘔吐反射があるので、これが不十分だと、内視鏡がノドの奥に当たると、何度も吐き出そうとして、ものすごくツライことになってしまいます。
最近は鎮静剤で眠った状態で行うことが多くなりました。眠っているうちに気がついたら検査が終わっている、という感じです。
胃カメラでわかること
カメラを通して食道・胃・十二指腸の粘膜面を観察できるので、肉眼で確認できる病気には非常に有効です。バリウム検査と違い、病変が見つかったら、その場で組織を採取して病理検査を行うことができます(=生検)。
肉眼で確認できる病気とは、腫瘍(胃がん、食道がん、ポリープ、粘膜下腫瘍など)や潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、アニサキス虫体、逆流性食道炎の程度、萎縮性胃炎(ヘリコバクターピロリ菌感染のある粘膜)などです。
狭窄(狭くなっている状態)の程度や出血の有無の確認も可能です。
逆に、肉眼で確認できない変化には胃カメラはあまり有効ではありません。ただ、食道がんや胃がん、消化性潰瘍のないことを確認する意味では、まず胃カメラをすることが重要です。そのうえで、症状に応じた治療を始めていきます。
進行食道がん
進行胃がん
胃潰瘍
胃カメラは何歳くらいから受ければいいのか?
まれに20-30歳代の胃がんを経験することがあります。ただし、非常にまれです。通常は下の図のように、40歳代から増加傾向がみられるようになり、50歳代以降では普通に見られます。
できれば40歳になったら、遅くとも50歳になったら、一度は胃を調べる必要があります。
十二指腸潰瘍などは30歳代によく見られます。よい潰瘍のお薬が出ていますが、診断できなければお薬を使うことはありません。十二指腸は壁が薄いので、簡単に穴が開いてしまいます(=穿孔)。消化液や食べ物が漏れ出すと腹膜炎になり、強烈な痛みが出現します。治療は緊急手術です。穿孔する前に診断してお薬を開始すれば、潰瘍は治癒し、手術を回避できたはずです。
なんらかの症状があれば若くても胃カメラを受けるべきだと思います。
眠って行う胃カメラ
当院では鎮静剤を使って”眠っている間に”胃カメラを行うことが多いです。
ノドの反射をゼリー状の麻酔薬で粘膜に麻酔をかけるだけで胃カメラは可能です。が、違和感が強く、初めて方や若い方には少しつらい検査です。鎮静剤を少し使うことで、知らない間に検査を行うことができます。自分から求めてツライ検査を受ける必要はないと考えています。実際、私自身が他院で胃カメラを受けたときも鎮静をかけてもらいました
1)鎮静して胃カメラを行うメリット・デメリット:
眠っているうちに検査が終わるので、カメラによる違和感やしんどさがありません。
ただし、検査の後鎮静剤の効果がなくなるまではふらついて歩いたり、自動車に乗ったりできません。検査終了後1時間くらいは休んでいただく必要があります。眠気が取れたと思っても、しばらくは鎮静剤の効果は続くので、できればどなたかに送迎したいただいた方が安全です。
当院では胃カメラを受ける方の9割程度の患者さんが、鎮静して検査を受けておられます。
2)鎮静しないで胃カメラをするメリット・デメリット:
10年前はどこの施設でも鎮静はせずに胃カメラを行っていました。原則、ノドの麻酔がしっかりできていれば、鎮静なしで十分問題なく胃カメラは行えます。
鎮静なしのカメラのメリットは、検査後すぐに帰宅いただけることです。ノドの麻酔は1時間くらい効いているので、その間は飲んだり食べたりはできませんが、検査後休んでいただく必要がありません。
検査をしてすぐに帰りたい方には、鎮静しないほうがよいかもしれません。もちろん、挿入時のノドの違和感はありますが、検査中ずっと私はしゃべっていて、いろんな注意点を説明しながら検査していますので、それに従っていただければ問題なくできると思います。
ただし、ノドの反射が強く、マウスピースをくわえるだけで吐きそうになるケースは、無理せず鎮静で検査を受けられた方がよいと思います。
ピロリ菌の検査を受けるには、胃カメラは必要か?
ピロリ検査(当院は血清ピロリ抗体で評価しています。)➡陽性な場合の除菌治療➡除菌ができたかどうか確認検査、という流れになります。これらを保険診療で行う場合、気を付けないいけないのは、概ね6か月以内(できれば3か月以内)に、胃カメラ、またはバリウム検査で胃の中の様子を確認したかどうかです。これがなければ保険診療でピロリの検査、および、治療はできません。
厚生労働省がどうしても譲らない点です。要は、「ピロリピロリと騒いでるけど、その人の胃に胃がんは今ないのは確かめたんやろなぁ。」ということです。確かに、胃がんがあるのにピロリ除菌というのは間違っていますかね。
これはこれからも堅持される方針と思います。
保険でピロリ検査、除菌を希望される場合は、
1)会社健診などで胃カメラ検査やバリウム検査を行った場合は、検査の日時と検査結果がわかる用紙(通常は慢性胃炎、または、萎縮性胃炎ときさいさ記載されている)を持参のうえ、受診してください。
2)バリウムを含めて、胃の検査を受けたことがない方は、当院で胃カメラを行って、その時に採血も行って、
ピロリの有無を確かめることになります。
胃カメラをする上で私たちが目指していること
2020年現在、医師になって30年足らずになりました。消化器外科医としてたくさんの胃がんを切除してきました。胃がんの手術をたくさんしてきたということは、再発患者さんが増える、内科から相談されたけど手術ができないくらい進んでいて手術を断った患者さんが増えることを意味します。
いろんな抗がん剤がものすごい勢いで出てきて、治療成績もよくなってはいますが、現状は切除できない胃がんは治らないままです。
手遅れになる前に症状が出てくれればよいのですが、多くの胃がんや食道がんでは症状が早い段階ではでてきません。
私たち内視鏡に携わっている医師が望んでいるのは、治る段階の胃がんを見つけたい、できれば内視鏡治療で治る胃がんを見つけたいということです。
田辺市でも胃カメラによる胃がん検診が始まっています。症状がなくても、ある程度の年齢になったら胃カメラを受けて、胃がんのないことを確認しましょう。
当院で胃カメラを受けたいとお考えの方は、電話予約が可能ですので、お電話ください。受付で検査日の調整をいたします。