6月に米国予防医学作業部会が大腸内視鏡検査をより強く勧める論文を出しました。
自覚症状のない50-75歳には大腸内視鏡による検診を強く推奨しています。
日本では便潜血検査(2日法)が大腸癌健診として広く普及していますが、実際にうけているのは全体の2割にすぎません。このうち便潜血陽性の方々は約7%で、大腸内視鏡検査を実際に受けるのは60-70%の人です。どれくらい大腸ガンが見つかるかというと、約5%です。
まとめると、大腸癌の発見率は便潜血検査を受けた方々の約0.15-0.2%(500人に1人以下)です。
便潜血検査は値段が安く、それなりに意味のある検査ですが、落とし穴があります。
全部の大腸癌や大腸ポリープを拾い上げることはできないということです。
早期大腸癌の可能性が高い10㎜以上の良性腫瘍では、左側の肛門から近い大腸(左側大腸)では陽性率が60.4%であるのに対して、肛門から遠い右側大腸では34.8%しか陽性になりません。残り65%が見つからないということです。
進行大腸癌ではどうでしょう。左側大腸ガンは92.2%を捕まえることができますが、右側大腸ガンは76%が陽性で、残り23%は捕まりません。より進行度の浅いものほど見逃されてしまいます。
こういう結果をうけて、アメリカでは、50歳以上になったら無症状でも大腸内視鏡を定期的に受けなさいということになったようです。
アメリカでは国を挙げた取り組みで大腸ガンによる死亡率が減少していますが、日本では大腸ガンにかかる人は増加の一方で、しかもなくなる方々も減少しておらず増加の一途です。
この傾向は当面変わる気配がありません。
大腸癌は比較的おとなしいガンなので、早めに見つけて治療を受ければ大半の方が治癒してしまいます。
身近な知り合いに大腸ガンがあれば、是非大腸内視鏡検査を受けることをお考えになられては如何でしょうか。
当院では眠った状態で内視鏡検査をするので、知らないうちに検査が終わっています。
アメリカの有名雑誌の論文を読んでいて感じた、院長の雑感でした。
それにしても暑いですね。みなさん、熱中症予防のため、充分な水分摂取をよろしくお願い致します。
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