優秀論文表彰

 この年になってヒトから誉められました。

 

 こんな患者さんに苦労してこんな風によくしましたとか、こんな珍しい経験をしましたとかを報告するのが、症例報告です。

 初めて目にするケースで、どう対処したらよいか分からない時には、よく似たケースが報告されていないかを調べて、治療の参考にします。

 地味ですが、症例報告の論文を書くというのは、臨床医にとって非常に大切な仕事です。

 

 ヒトから誉められることなくなって久しいので、クリニックの受付のところに飾っています。


 もう15年前に大阪の日生病院に勤務していたころの経験です。私の師匠、大阪大学の井上善文教授から、「そういやぁ、あの症例、論文にしたか?」と急にいわれて、「あの経験は非常に大切だから、今からでもいいから論文にしよう。」。この人、15年も前の症例が論文になったかどうか、覚えているんか…、少々怖くなりました。

 

 ヒトに褒められる、いい気分ですね。

 

 7年くらい前、肛門手術の師匠、大阪中央病院の斎藤先生(当時は大阪北逓信病院)と一緒に手術に入っていて、斎藤先生が突然、「先生、手術相当うまいんだろうな。」とボソッと言われました。もう後進を指導する20年目の大腸外科医でしたが、尊敬する先生にそういわれて、ものすごく嬉しくなったのを今も覚えています。私は後輩たちの手術を誉めてきただろうか、反省しきりでした。

 

 山本五十六の言う、「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、誉めてやらねば、人は育たじ。」。自分が誉められて嬉しいのは誰でも同じなのに、人を誉めるというのは難しいですね。私はうちのスタッフを誉めているでしょうか。ウーン…。