こんな症状で困ったら‥
胸やけがつらい‥‥ (胃食道逆流症:GERDのお話)
「みぞおちのあたりから焼けるような熱い感じがいつもある。」「酸っぱいものが上がってくる感じがしてイヤな感じがする。」「食事をするとつかえるような感じがしてあまり食べられない。」「声が最近嗄れている」‥‥、そんな症状にお困りではありませんか?
こんな症状、ご自分にはありませんか?
□ 胸のあたりが熱い、胸のあたりがしみる感じがする。
□ 「酸っぱいものが上がってくる」感じが頻繁にみられる。
□ 食事をしているときにもどしてしまうことはないが、”つかえる感じ”がする。
□ 脂っこいものを食べたときや食べすぎたときに、胃のあたりがムカムカする。
□ ノドのイガイガした感じや、空咳(痰があまりない咳)が何か月も続いている。
□ 眠っているときに咳で目が覚めてしまうことがある。
□ 最近、「声がかすれているね。」と周囲にも言われる。
これらの項目を読んで、ご自分の症状に合う、あるいは近いものがある、という場合には、胃食道逆流症(GERD)の可能性があります。
一度、ご相談ください。治療によって、症状が改善するかもしれません。
どうしてGERDは起こるのでしょうか?
上に並べた訴えは、胃酸が食道に逆流することによって起こります(酸逆流症状)。胃の粘膜は強酸性の胃液(=塩酸)から粘膜を守るための仕組みを持っていますが、食道粘膜は胃液にさらされるのを守る仕組みを持ちません。胃酸が食道に逆流してくると、食道粘膜がダメージを受けて、様々な症状につながるわけです。
原因として、①胃と食道の境界にある筋肉ゆるんでしまう ②食道の動きが悪く、逆流してきた胃液を胃に押し戻せない ③胃にかかる圧力が強くなり、結果、上向きに力がかかって胃液が逆流する などが挙げられます。
GERDはどのように診断されるのでしょうか?
まずは胃カメラを行って、食道と胃の境界部分(食道胃接合部)の観察を行います。胃酸の逆流によって食道粘膜が痛んでいないかを確認します。ただし、食道胃接合部の粘膜の痛み具合が症状の強さには相関しないこともよくあります。粘膜がまったく痛んでいるようには見えないのに、胸やけなどが強いケースもあります。
それと並行して、食道がんや胃がん、胃潰瘍などのないことを確認しておくことも重要です。ピロリ菌感染がないかをチェックしておくことも大切です。ピロリ除菌によって胃食道逆流症の症状が軽くなることも期待できるからです。
GERDの治療方法は?
胃酸を抑える服薬治療が中心になります。現在、胃酸を抑えるお薬には様々な種類があります。ヒスタミンH2受容体拮抗剤(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などがあります。
ピロリ菌が陽性なら、除菌治療をすべきでしょう。
GERDになったら、ずーっとお薬を飲まないといけないのでしょうか?
症状がなくなれば服薬の中止は可能ですが、しばらくしてから症状がぶり返す(再燃する)ことが多く、80%以上といわれています。また、服薬を中止すると数日で症状が戻ってしまうケースもあります。やめてすぐに症状が悪くなる場合は継続して服薬いただいた方がよいと思いますが、よくなってから服薬をやめても調子がよければ、症状が悪くなった時にだけ服薬するという方法でもよいと思います。
生活習慣で気を付けることはありますか?
GERDの原因のうち、①胃と食道の境界にある筋肉ゆるんでしまう ②食道の動きが悪く、逆流してきた胃液を胃に押し戻せない については生活習慣で改善させるのは難しいと思われます。
ただ、③胃にかかる圧力が強くなり、結果、上向きに力がかかって胃液が逆流する については、食べ過ぎない、減量して肥満を解消する、ずっと前かがみの姿勢にならない、ベルトなどでお腹を強く締めすぎない、といったことでかなり改善するのではないでしょうか。
また、夜間横になっているときに胃酸は逆流しやすいので、少し頭の高さを高く保つような工夫も重要です。