こんな症状で困ったら…

胃が痛い!!

 

 様々な病気でみぞおちの痛みが起こることがあります。

 

 もちろん一時的な胃の痙攣のこともありますが、ある程度の期間続くようなら、重大な病気が潜んでいる可能性があります。きちんと検査をすることをお勧めします。

除外すべき疾患:

 

1)胃潰瘍や十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)

  痛みと食事の関連はありませんか?お腹が減ってくると痛くなる、食事を食べてしばらくすると痛くなる、といった特徴はないでしょうか。

  ウンチが最近黒っぽい、べったりとした真っ黒な便が見られる(=タール便)というのは、胃や十二指腸から出血していることを意味します。貧血で鉄剤を内服されている方はその限りではありません。

 

 胃カメラで診断し、ピロリ菌のチェックも行います。潰瘍に見える胃がんなどもありますので、組織を取って(=生検)その除外を行います。潰瘍の薬で治療しながら、ピロリ陽性であればこれを除菌することで治癒します。

2)逆流性食道炎

   多くは胸やけの訴えが多いですが、みぞおちの痛みと感じる場合があります。

 詳しくは”胸やけがつらい”のページをご参照ください。

”胸やけがつらい”のページへ移動

3)機能的ディスペプシア

  ややこしそうな病名ですね。日本語はないのです。わかりやすく言うと、「症状のある、慢性胃炎」といったイメージでしょうか。要は、胃カメラで観察しても、胃潰瘍もびらんも胃がんもない、正常な胃粘膜に見えるのに、胃の痛み・張り・不快感などを自覚する病態を指します。まずは胃カメラで病変のないことを確認する必要があります。

  治療薬はありますし、私個人的には六君子湯や半夏瀉心湯などの漢方薬を併用することが多いです。

4)胃がん

  胃痛のない胃がんの方が多いですが、胃痛を訴える場合もあります。これは見逃すわけにはいかないので、胃の不調を感じて長引く場合は、胃カメラをして胃がんのないことを確認することが重要です。

5)胃アニサキス症

  アニサキスの幼虫はカツオ・イカ・サバ・アジ・サンマなどの内臓に寄生していることがあり、調理の段階で刺身などのまぎれてそれを生食することで胃内に侵入してきます。

 間歇的にみぞおちに激痛が続きます。とても様子をみていようかな、と思えるような軽い胃の痛みではありません。

 治療は胃カメラによる虫体の摘出です。摘出後もしばらくは痛みが続きます。

 鮮度のよい魚でも速やかに内臓を処理し、目で虫体のないことをしっかり確認することが大切です。酢で締めたり、塩をしたりするだけではアニサキスは死滅しません。

 

 紀南地方の方々は年中カツオを生で食べます。カツオ中毒ですね。カツオにもアニサキスはいますので、気を付けて食べてくださいね。1年に何名か来られて緊急で内視鏡をして虫体の摘出を行っています。ご注意ください。

6)その他の病気

  患者さんが胃が痛いと言っているからといって、必ずしも胃の病気とは限りません。それ以外の病気も想定しておかないと、大けがをします。

 

 例えば、胆石症で右わき腹の痛みとは言わずに、みぞおちの痛みを訴えずに胃が痛いと表現される方もおられます。実際、胆石症と消化性潰瘍の症状は区別がつきにくいのです。胆石症の手術の前に胃カメラを行って、胃・十二指腸潰瘍がないことを必ず確認するのはそのためです。

 階段を上ったり、仕事で身体を動かしたときに痛みがある、労作性狭心症かもしれません。心臓は胃のすぐ上にあるので、心臓の下の壁に病変があれば胃痛というかもしれません。

 肋間神経痛帯状疱疹も気を付けてみないといけませんね。

 

 胃痛かな?と思って、症状が続くようなら、一度受診されることをお勧めします。